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全国肥料商連合会(全肥商連)
平成26年 10大ニュース

1.第50回全国研修会開催
 第50回全国研修会は、予定通り7月3日〜4日仙台市(宮城県)で開催しました。
 「東北からの発信!〜これからの豊かな食と農〜」をテーマに、東京農業大学名誉教授小泉武夫先生の『和食の推進と日本農業の再興』の講演を始めとする研修会には、全国から216名が参加し盛会裡に終了しました。来年度の開催は6月18日〜19日札幌市を予定しています。全肥商連創設60周年・法人化5周年にふさわしい行事として、豊富な講師陣と北海道ならではのスケールの大きい先進農業の現地視察を企画しています。
2.施肥技術マイスター登録者 目標達成間近
 平成23年8月にスタートした「施肥技術講習会」は、本年11月までに北海道から九州まで全国各地で12回開催しました。これまでの受講者総数は1,439名、施肥技術マイスターの登録者は約1,200名になる見込みです。第8回より参加した全国の普及指導員の受講者は今回までに73名となり、「施肥技術講習会」に対して、行政はじめ農業 関連団体の関心は回を重ねるごとに高まってきています。来年度も東北・関西・関東地区など年3回の開催を予定しています。施肥技術マイスターの登録者1,500名とする当初の目標は、来年度末には達成する見込みです。また施肥技術講習会の教材「土と施肥の新知識」の販売は近々10,000部を達成し、来年早々改訂版の増刷を予定しています。
3.都道府県部会活性化促進事業の基金創設
 わが国は、世界に先駆けて人口減少・超高齢化社会を迎えており、全国で896の自治体が消滅するとの試算「日本創成会議」もある中で、政府は国と地方が総力を挙げて地方創生を推進することを決めました。全肥商連も農業生産法人、食品流通なども含めた異業種、関連業界などに幅広く会員を募り、次世代層にとって魅力ある「組織」を目指し、都道府県部会での研修事業の拡充による「活性化」を図り、延いては全肥商連の「社会的存在感」を高めることを目的とした特別基金を創設しました。今後平成28年3月迄の事業活動に対し、この基金を起爆剤として都道府県部会が大いに活性化されることが期待されます。
4.全肥商連主催「飼料用米研修会」大盛況
 本年度より農水省が奨励している飼料用米の生産・流通の関心が全国的に高まっていることに鑑み、農水省・(独)農研機構・飼料メーカーの協力を得て、6月2日に全肥商連主催「飼料用米研修会」を開催しました。研修会には北海道から九州まで全国各地から会場一杯の105名が参加し、タイムリーで充実した質の高い研修会であったと評価を得ました。これを契機に都道府県部会総会でも飼料用米に関する研修が開催されるようになりました。全農の昨年比3倍強の60万トン買い付け発表及び日本飼料工業会の積極的な取り組み姿勢の表明、更に農水省の飼料用米関連の27年予算概算要求昨年比63億円増額もあり、飼料用米の動きは一層活発化する見込みです。
5.化成肥料出荷実績20肥以来の大幅減少 消費税増税の影響?
 平成25肥年度の化成肥料(高度・普通)の出荷実績は、3月迄は消費税増税の先取り需要もあって前年を上回っていたが、4月以降その反動もあり出荷は低迷し、前年対比89.8%と20肥以来の大幅な落ち込みとなりました。一方全農高度化成国内価格は、秋肥(平成26年6月〜10月)は春肥比▲2.9%、春肥(平成26年11月〜平成27年5月)は秋肥比+0.8%と比較的安定的に推移しました。為替は、日銀の追加量的金融緩和の発表後2007年7月以来7年4ヶ月ぶりに1ドル120円台となり、急激に円安に振れています。年明け以降この状況が続くと来年度価格は大幅な値上げは避けられない状況となり、肥料業界各社及び農業経営に大きく影響することが懸念されます。
6.牛肉骨粉等肥料利用解禁
 牛肉骨粉等は我国でのBSE発生に伴い、平成13年10月以降その製造及び出荷を停止し焼却処分していましたが、本年1月から肥料利用が再開されました。但し牛の飼料への誤用・流用を防止する為の管理措置として、化学肥料(50%以上)や摂取防止剤(消石灰等)の混合が義務付けされています。
 又それに関連した牛肉かすなどの肥料利用についても、本年10月から上記管理措置を義務付ける事を条件に解禁となりました。動物系有機質原料がタイトとなり高騰している状況下、貴重な資源としての利用が期待されます。
7.26年産米価暴落
 農水省は12月5日、平成26年産水稲の作柄を作況指数101の「平年並み」と発表しました。10a当たり収量は536?で、主食用等の収穫量は788万トンが見込まれます。
 これは生産目標を23万トン上回っており、平成26/27年(平成26年7月〜平成27年6月)の需要量778万トンに対しても10万トン上回ります。このような状況の下、26年産の米価は大幅に下がりました。史上最安値といわれる水準への下落は、25年産古米の持ち越し在庫が多く、先行きの下落が避けられないと予測した全農の概算金が60キロ当たり2,000円〜4,000円と大幅に引き下げられたことが原因とされています。26年6月末の民間在庫は220万トンで、前年同期を4万トン上回りましたが、27年6月末はさらに10万トン積みあがって230万トンに達する見込みです。このため引き続き農家所得の圧迫が懸念されます。主食用の需要量が毎年8万トンずつ減少しているトレンドを勘案して農水省は、27年産米の生産数量目標を26年産目標の765万トンからさらに14万トン削減して751万トンと設定しました。26〜27年産の2年間で実に40万トンも生産抑制を図ろうとする大幅な減反強化です。飼料用米への作付け転換がどう進むかが焦点ですが、わずかな材料で変動する主食用米の需給と価格の先行きには不透明感が付きまといそうです。
8.農業改革を断行
 政府は平成26年6月に閣議決定した「規制改革実施計画」に沿って、農業改革の3つの柱「農業委員会等の見直し」「農業生産法人の見直し」「農業協同組合の見直し」を実施するため、次期通常国会に関連法案の提出を目指します。政府が掲げる農協改革「@中央会制度の廃止」「A全農の株式会社化」「B単協の専門化・健全化の推進」などに対し、JA全中が公表した自己改革案は政府案との隔たりが大きく、現在審議中の「食料・農業・農村基本計画」同様今後の動きに目を離すことが出来ません。
9.自然災害多発
 今年は2月の豪雪に始まり、広島等の集中豪雨・御嶽山始め各地火山の噴火・度重なる台風の襲来・長野県北部地震など日本列島は自然災害が多発しました。広島の土砂災害、長野・岐阜県境にある御嶽山噴火では多くの人が犠牲になり、大型台風の襲来は全国各地に大きな被害をもたらし、記録的な積雪となった関東甲信越地方ではハウスが倒壊する等施設・農作物にも大きな被害をもたらしました。
 一方海外に於いても、米国の熱波・旱魃をはじめ世界各地で毎年異常気象が広がり、農作物の被害が深刻になっています。エボラ出血熱、デング熱のパンデミック(世界流行)の兆し、農業界でも豚PED(流行性下痢)、鳥インフルエンザ、口蹄疫等社会がグローバル化する事により気象変動や流行病問題への対応も避けられない時代となりました。
10.衆議院選挙は 自民・公明両党で絶対安定多数を確保
 安倍政権の経済政策「アベノミクス」の継続の是非と消費税増税延期などを争点として行われた衆議院選挙は、自民・公明両党が絶対安定多数を確保し、「アベノミクス」は信任される形となりました。アベノミクス第3の矢としての成長戦略「日本再興戦略」(改訂)にある「攻めの農業分野への展開」の更なる大胆かつスピードをもった実施が期待されます。私たちの関心事であるTPP交渉は今年度中の合意を目指していましたが、11月北京で開催した首脳級会議では日米間の農産物関税等の協議が纏まらず、参加12カ国による交渉もまだ利害が対立していることから合意には至りませんでした。
 今回の衆議院選挙で自公両党が絶対安定多数を確保したこと、及びアメリカの中間選挙の結果、自由貿易に積極的な共和党が上下院とも多数を占めることになったことにより、TPP交渉は前進することになるとの見方があります。
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