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農大式土壌診断キット「みどりくん」の特長と使い方

2 誰にでもできるリアルタイム土壌診断分析

 土壌診断のための精密な化学分析を外部に依頼すれば少なくとも1週間以上かかる。そのため、栽培期間中に土壌中の養分量を知りたい場合には役に立たない。たとえば、生理障害が出て、原因を調べたい場合や、追肥を施用するかしないかを判断したい場合などである。
 しかし、いまは簡易な分析キットなどが普及しつつある。本格的な土壌診断分析と比べて正確さでは劣るとはいえ、十分に実用に役立つ分析結果が得られている。

 リアルタイム分析では硝酸態窒素とpHが重要

 作物生産現場でのこのようなリアルタイム土壌診断は、作物に多量吸収され、しかも土壌中で増減しやすい養分を分析すればよい。
 主に分析する養分は以下の通りである。

●窒素/カリ
 多量要素のなかでも、リアルタイム土壌診断でとくに重要な養分は、「窒素」と「カリ」である。
 作物に吸収される「窒素」の土壌中での形態は「アンモニア態」と「硝酸態」である。
 畑では「硝酸態」が圧倒的に多いため、窒素の分析といえば、硝酸態窒素と見てよい。
●リン酸
 「リン酸」のように吸収量が窒素やカリより少なく、また土壌中に蓄積しやすい養分は「ベテランの目」をもってしても見逃してしまう。
 毎年、野菜品評会で上位入賞するようなキュウリやトマトハウスの土壌中に莫大な量のリン酸が蓄積していることが多い。
 リン酸は作物栽培期間中に大きく増減する養分ではない。また、リアルタイム分析では精密な分析値が出にくいので、JAなどでの本格的な土壌診断分析をしたほうがよい。
(石灰や苦土の分析もリン酸と同様)
●pH(H2O)
 「pH(H2O)」もリアルタイム分析で欠かせない。土壌のpH(H2O)は塩基飽和度により変化し、通常塩基飽和度が80%(腹八分目)前後であれば、6.0〜6.5を示し、一般の畑作物の生育に適した環境となる。

(ハウス農家では、塩類濃度の目安として電気伝導率(EC)を重視しがちであるが、リアルタイム分析用の試薬や試験紙は実用化されていない。ECは硝酸態窒素量に依存する測定項目なので、硝酸態窒素を分析すれば、施肥管理上の支障はない。)


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