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全国肥料商連合会(全肥商連)
平成23年 10大ニュース

1.一般社団法人全国肥料商連合会誕生
 昭和30年に創設された全国肥料商連合会は、平成23年1月19日をもって、56年の歴史を閉じ、一般社団法人全国肥料商連合会として新たなスタートを切ることになった。全国農業技術員会協議会も同日解散し、その業務は全肥商連内の農業技術部が引き継ぐこととなった。また9月に開催された全肥商連第1回社員総会では、都道府県代表8名を含む14名の理事が新たに選出された。
2.未曾有の大災害 ―東日本大震災発生―
 平成23年3月11日に発生した東日本大震災は、日本における観測史上最大の規模、マグニチュード9.0を記録した。
 この地震によって大津波が発生し、地震・津波により東北地方・関東沿岸部に壊滅的な被害をもたらした。肥料業界では、関東北にある肥料メーカー並びに流通業者も被災したが、メーカー間、肥料商間での玉の融通、工場の操業再開への並々ならぬ働きのお陰で、肥料流通全体に大きな支障が生じなかったことは大きく評価されてしかるべきである。
 全肥商連では全国複合肥料工業会と共同で7百万円を超える義援金を岩手・宮城・福島・茨城・千葉・栃木の被災地6県と日本赤十字社に謹呈した。
 被災地の1日も早い復旧と復興を心よりお祈りします。
3.福島第1原子力発電事故
 3月11日の東日本大震災及びそれに伴う大津波が原因で、日本及び世界における最大規模の原子力発電事故が福島第1原発で発生した。
 農産物及び土壌も汚染し一部の野菜に関しては、食品衛生法上の暫定基準値を超えたとして出荷停止措置がとられた。米に関しても作付前の土壌汚染調査、玄米に含まれるセシウムの検査が行われ、一部の農家が収穫した玄米に暫定基準値を超えるセシウムが見つかった。
 農業生産法人をはじめとする一部の農家では、セシウムの自己検査を実施し、自己防衛に努めているところもある。肥料にも暫定基準値が設けられたが、化成肥料メーカーでは、原料・商品の在庫管理及び生産工程も放射能汚染の心配もないことから、特に問題はない。
 全肥商連では、全農薬・全農機とともに農林水産省と折衝し、肥料商における原発事故の二次被害(営業損失等)について、東京電力への損害賠償の対象とすることができた。
4.「技術指導員制度」スタート
 従来の「農業技術指導員制度」に代わって、施肥に関する新たな知識を学習することを目的とする「技術指導員制度」がスタートした。
 新たに発足した著名な先生方のカリキュラム委員会を中心に、農林水産省の後援も得て東京・大阪の2回にわたって「施肥技術講習会」を開催した。両計で246名が受講し続々と「施肥技術マイスター」が誕生している。会員の農業技術の向上に寄与する為、今後全国各地で年2〜3回程度の講習会を予定している。
5.平成23年産米の作況指数
 農林水産省が12月7日、平成23年度の作柄は、全国の10a当たりの収量は533?(作況指数101)と公表した。
 主食用米の収穫量は813万トンであり基本指針の平成23/24年(2011年7月〜2012年6月の主食米等需要量は805万トンであり8万トンを上回る生産量であった。
 昨年は異常高温の為、米どころの新潟県では一等米比率が21%台まで低下したが、今年は高温対策の効果もあり、一等米比率は約77%に改善した。
 今年は東日本大震災の影響もあり、米価は全般的に堅調で地域的には西高東低で推移してきたが、年後半になると下げに向かう一方、コメの集まりは例年になく悪いようである。72年振りに試験的に再開されたコメの先物取引が8月8日にスタートしており、今後の動向が注目される。
6.販売農家の農業就業人口260万人に減少
 「2010年農林業センサス確定値」によると、日本の販売農家の農業就業人口は260万人で5年前に比べて75万人(22%)減少し、その平均年齢は65歳を超えた。
 農業人口の高齢化と農地の減少は、肥料商にとって今後の事業発展の為には大きな課題である。一方、世界の人口は11月に70億人を突破し、毎年8,000万人づつ増加し2050年には95億人を越すだろうとFAOは予測している。アフリカ地域が約2倍になり、アジア地域も10億人ぐらい増えると言われている。このことを背景に、世界の主要肥料メーカーでは農業・肥料は成長産業であると位置づけ、新規に資源開発したり他社を吸収したりしている例も少なくない。
7.TPP交渉参加の方針を表明
 野田首相は11月、ハワイで開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議で「環太平洋連携協定(TPP)への交渉参加に向けて関係国との協議に入る」と表明。
 TPP問題は貿易の自由化が前提であり、我が国農業にとって最大の関心事である農作物の関税撤廃や医療分野等の規制緩和に向け、国会をはじめ関係業界を中心に国民的課題として賛否両論入り混じった論戦が展開されており、政府は難しい舵取りを迫られることになりそうだ。いずれにしても日本農業が強くなることが肝要である。
8.第47回全国研修会開催
 東日本大震災により開催が危ぶまれていた第47回全国研修会は、予定通り7月7日〜8日熊本県で開催した。
 「九州から被災地に元気をおくろう」こういう時だからこそ「全国の肥料商の絆を深めよう」との熱い思いを込めて、九州ブロックが総力を挙げて開催した研修会は、「これからの求められる農業経営…とは」をメインテーマに、「道の駅」の命名者である熊本大学文学部徳野貞雄教授の「『闘う文学部の農学者』…潮目が変わった」の講演に総勢130名にのぼる過去5年間で最多の参加者を得ることができた。来年度は岡山県部会を中心に中四国ブロックが幹事として、7月5日〜6日岡山県での開催を予定している。テーマは「農の継承」。
9.食と農林漁業再生の為の基本方針
 政府は10月に「食料・農業・農村基本計画」に基づく「食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画」を発表した。
 その骨格は、支援の骨格を消費者負担から納税者負担に切り替え、農業者に直接支払いをする「戸別所得補償制度」の拡充を図る一方、農業の構造的な再生を目指す「農業6次産業化」政策を力強く促進する内容となっている。全肥商連では、農業6次産業化に関しての最低限の知見を得ることを目的として、6次産業化現地研修を実施し、勉強会をスタートさせた。
10.23肥料年度価格は、秋肥・春肥2度の値上げ
 平成22年度より秋・春2本立て価格となったが、今年度は主要品目の高度化成は、秋肥(6月―10月/5カ月)56円、春肥(11月−5月/7カ月)79円アップし、秋・春合計135円の値上げとなった。
 原料高を円高で相殺し、値上げ幅は縮少されたものの2度の値上げは、農産物価格が中々上がらない農家にとっては痛手である。肥料高騰化前の19肥料年度の高度化成の出荷量は104万トンあったものが、22肥料年度では87万トンと低迷しており、今後の需要回復も芳しくないとおもわれるところから、肥料メーカーにとっても大変苦しいところである。
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