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全国肥料連合会会長 山森 章二

一般社団法人
全国肥料商連合会
会長 山森 章二


 暑中御見舞い申し上げます。

 はじめに、各地の自然災害或いは新型コロナウイルス感染により亡くなられた方々、ご家族の皆様には謹んでお悔やみ申し上げます。また、被災された方々、闘病中の方々には心よりお見舞い申し上げます。

 全肥商連を代表して一言夏季のご挨拶を申し上げます。
 日頃より全肥商連の活動に積極的にご参加、ご支援、ご指導を頂いており、誠に有難うございます。

 さて、農水省様がEUに追随して発表した「みどりの食料システム戦略」では「食料・農林水産業の生産力向上と持続性(SDGs等)の両立をイノベーションで実現する」為に、「温室効果ガスの排出削減」(地球温暖化防止)と別に併記して「化学農薬・化学肥料の低減」、「有機農業の面積拡大」を「重要な取組」と位置付けました。
 そして、「肥料」関係では、2050年(EUでは2030年)までに「輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の30%低減、内、10%純減、20%を堆肥等の有機に置き換え。」(EUでは単に「肥料の20%低減」)、「有機農業を耕地面積の25%まで拡大」(EUと同じ)としています。

 政策の狙いと効果を理解する為に、環境省傘下の国立環境研究所が国際共通基準で作成する公式データ「日本国温室効果ガスインベントリ報告書2021年」を調べてみた処、同じ窒素成分量の「無機質窒素肥料(化学肥料)」と「有機質窒素肥料(含む堆肥)」から排出される温室効果ガスの量は同じとされていて、その他の「有機農業」関連の数値も勘案すると、寧ろ「有機」関連の排出量の方が多くなる可能性さえあるのです。
 化石燃料を原料とした化学肥料を低減し有機肥料に置き換えることで排出ガス低減・地球温暖化に貢献するものと思い込んでいた私は、これには仰天致しました。そこでいつもお世話になっている農水省様の中堅幹部の方に確認すると『その可能性は認識していた』との回答でしたので、なおさら頭が混乱して、その後同省の取りまとめ部局の話も伺ったところ、『化学肥料低減の狙いは「温室効果ガス低減」ではなく、「生物多様性(絶滅危惧種・環境保全)・肥料流亡低減」と「輸入依存度の低減(安保の為の国産比率の向上)」と、特にリンについては「資源の臨界」である』とのお話で、やっと真の狙いがわかりました。

 しかし、逆に疑問は深まりました。世界規模の難題であるリンの臨界はさておき、「輸入依存度低減」の問題は、「肥料」に限った話ではなく、食料はじめ「畜産」(飼料)も「林業」(木材)も同じゆえ、その中で「肥料」の輸入依存度だけが、何故「重要な取組」となったのか説明がつきません。
 また、「有機肥料」が「肥料流亡低減」に効果があることはそうかも知れませんが(これも使用量や排出ガスなど多面的再検証が必要です)、「環境保全・肥料流亡低減」が狙いとすれば、「有機肥料」だけでなく、無機肥料でも「微生物分解肥料」や「高度な被覆緩効性肥料」等も流亡低減に資する上に、もう一つのテーマである生産力向上の貢献度はより高いので、これらも推奨されて良い筈で、選択肢を併記することを農水省様の各部局に提言していますが、理解は示して頂いているものの、未だ動いてくれません。

 それは何故か?
 「堆肥等の有機への置き換えで全てが解決できる」という「筋書き」から外れるからではないでしょうか。

 以下は私の想像です。
 脱炭素・環境保全・プラネタリーバウンダリー(資源の臨界)等への対応に舵を切った国際潮流の中で、日本も欧米に見劣りしない施策、特に、遅れを指摘されていた農林水産分野の挽回策を打ち出す必要に迫られた。そこで、日本とは自然環境も主要作物も異なるが国際的には受け容れられやすいEUの施策に敢えて追随した「標語」「方向性」を採用した。
 そして、EUに粗追随した「農薬」「肥料」「有機農業」の施策を軸にしつつ、これに「無機質肥料の堆肥等への置き換え」や「肥料原料の輸入依存度の低減」という日本の課題も忍び込ませた。日本独自で個々の政策を一から積み上げて作り上げたものではなく、EU追随の「標語」に個々の政策を半ば強引に当てはめ、そのうえ、更にこれでSDGsも全て解決できると説明しようとしたので、優秀な国家公務員をもってしても科学的根拠や論理的説明の辻褄合わせが追い付かず、事態は複雑化したのではないか?
 そもそも、目標年度の2050年の時点の日本の人口・必要な農業生産力や肥料の量などを全く想定せずに、「化学肥料の使用量を30%低減、10%は純減、20%を堆肥等に置き換える。」という低減割合の数値目標を設定できる、ということ自体が不思議です。また、「化学肥料」の使用量は統計では過去20年で合計30%以上も減ったのに、今から30年で「化学肥料10%純減」の見通しが何故妥当なのか、の説明も付いていません。

 ある課では「無機を堆肥に置き換えると温室効果ガス排出量は減る」ことを強調していますが、環境省の公式データ・国際基準と整合性が取れているのか疑問です。農林水産分野の温室効果ガスは日本全体の約4%、その内「肥料」由来は約10%(日本全体の約0.4%)、その内訳は「有機」由来が約5.1%、「無機」由来が約4.9%(共に日本の約0.2%)と元々比較的少ない上に僅差の話であり、どちらでも大差ないので、その不確かな僅差を敢えて誇張することは誤解を与えかねません。
 なお、農林水産分野の温室効果ガスの最大の問題は、これまで排出量を帳消しにしていた森林による吸収量が森林の高齢化により漸減していることにあります。また、農林水産分野由来の温室効果ガス排出量に占める割合が比較的大きい畜産分野の事項が、何故か本戦略の「重要な取組み」にも「KPI」にも入っていません。国民が一致団結して推進すべき大政策とするには画竜点睛を欠くのではないでしょうか。

 農水事務次官様は本年6月のあるWEB会議で「有機ばかり強調している訳ではない。」との趣旨のご説明をされましたが、実務はまだ追い付いていないようです。農水省様には、一方向の正当化に固執することなく、30年後の日本の農業の姿を確り見据えた、多面的検討と選択肢のある柔軟な施策と王道のご教導をお願いしたいと思います。

年末までにはワクチン接種、治療薬の承認も進み、来年年初の賀詞交歓会でお会いできますことを祈りつつ、夏季のご挨拶とさせて頂きます。引続き当連合会に対するご指導、ご支援の程何卒宜しくお願い申し上げます。

(一社)全国肥料商連合会
会長 山森 章二


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