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全国肥料商連合会(全肥商連)
平成25年 10大ニュース

1.全肥商連九州設立
 (社)全肥商連は農業環境の変化に合わせブロック単位での事業展開を進めておりますが、九州県部会(福岡・佐賀・熊本・宮崎・鹿児島)は、県部会の活動では充分にカバー出来ない案件への対応と九州全域の会員活動の活性化を目的として、(社)全肥商連の決議を経て、11月19日「全肥商連九州」を設立しました。会員向け研修事業に加え農業関連異業種との連携を深め「農産物評価の発展的創造」と「肥料商機能の発展的向上」を目指します。初代理事長には児藤雅俊氏(児藤商店社長)が選任されました。
 連絡先は泉國雄氏(事務局長、Tel 090-8628-4811、メールアドレスkunioizumihikari@ybb.ne.jp、ホームページアドレスhttp://1st.geocities.jp/zenpi_kyusyu/
2.第49回全国研修会開催
 第49回全国研修会は、予定通り7月5日〜6日橿原市(奈良県)で開催しました。「温故知新」をテーマに、薬師寺管主山田法胤睨下の日常生活に役立つ般若心経の教えを中心とした法話『歴史から学ぶこれからの生き方』をはじめとする研修会には全国各地から197名と嘗てないほどの大勢の人が参加し、盛況裡に終了しました。
 来年度は第50回の記念大会となりますが、宮城県部会を中心に東北ブロックが幹事として、7月4日〜5日宮城県仙台市を予定しています。テーマは、復興から新たな発展に向かう気持ちを込めて「東北からの発信!〜これからの豊かな食と農」としました。
3.施肥技術マイスター登録者1,000人突破
 平成23年8月にスタートした「施肥技術講習会」は、本年11月までに北海道から九州の全国各地で9回開催致しました。これまでの受講者総数は1,097名、施肥技術マイスターの登録者は1,000名を突破する見込みです。教材として出版した「環境・資源・健康を考えた 土と施肥の新知識」(企画・発行:全肥商連、販売:農文協)の販売は既に7千部を超え農業関係者の高い評価を得ております。
 第8回よりは普及指導員の参加も得ておりますが、更なる内容の充実に努めております。来年度は宮崎県(5月)・静岡県(8月)の開催が確定していますが今後とも年間3〜4回の開催を予定しています。平成27年度には、施肥技術マイスターの登録者1,500名達成を目指しており、その目標に一歩ずつ近づいてきています。
4.農政大改革〜米の生産調整(減反)見直しと農地の集約等〜
 農水省は、農業人口の減少・高齢化、耕作面積の減少・耕作放棄地の増大、農業参入企業・農業生産法人の増加に対処するため、「攻めの農業」を目指した農政改革の方向性を発表しました。
 米に関しては、今後10年間で、全農地面積の8割が、「担い手」によって利用され、産業界の努力も反映し担い手のコメの生産コストを現状全国平均比4割削減し、法人経営体数を5万法人とする。担い手への農地集約の為「県農地中間管理機構」を構築する骨太の政策となっております。
 また、経営安定対策においては、米直接支払制度の骨格であった主食用米向けの戸別所得補償を5年後に廃止(それまでは現行の15,000円/10aを半額に減額し継続する)することにより浮く予算を、飼料米の生産拡大に最大105,000円/10aを支援する水田活用直接交付金の拡充や農地を農地として維持することを目的とした多面的機能の支払を創設するなど10年先を見据えた内容となっております。
 更に、ロボット技術の普及、ICT技術の活用によるスマート農業への方向性も打ち出しました。水田フル活用等には産地交付金を拡充するため集落営農単位での取組みを奨励しております。企業、大規模家族経営、農業生産法人、集落営農を対象とした未来型農業を目指しており、肥料業界も今まで以上に農業に向かい合う施策を求められます。
5.TPP交渉参加
 政府は、グローバル経済における経済発展、取分け環太平洋における企業活動には米国主導のTPPに加盟することが不可欠であると判断し、平成25年7月23日〜25日にマレーシアで開催のTPP交渉に初参加しました。
 TPPは、アジア太平洋における高い水準の自由化が目標で、物品貿易のみならず、サービス貿易、投資、知的財産など21分野を含む包括的協定です。日本を含む12カ国が交渉に参加しています。交渉は世界最大のGDPを誇る米国と第3位の日本の二国間交渉と、インドネシア、ベトナム等の新興国と先進国間の市場開放交渉を軸足として展開され、12月中の基本合意が予測されていましたが、12月7日〜12日の閣僚会議で妥結に至らず越年となりました。
 日米間の交渉では米国が課す日本車に対する輸入関税と日本が主張する農産物5品目に対する聖域化が大きなテーマとなっております。取り分け注目されているが米の関税で、現状の788%を維持、MA(ミニマムアクセス)米枠の拡大、10年〜20年の猶予期間をおいて段階的に関税をゼロに近づけるか等の選択肢が議論されております。TPP交渉結果如何に拘わらず、環太平洋の経済規模は一層拡大しますが、日本農産物が世界の多くの人々によって更に賞賛されるべく肥料業界も一層の農業支援をする時期に来ております。
6.「和食」が世界無形文化遺産に登録
 6月26日の富士山の世界遺産登録に続いて、国連教育科学文化機関(ユネスコ)は、12月4日に日本の「和食 日本の伝統的な食文化」を無形文化遺産に登録することに決定しました。
 今まで能楽、人形浄瑠璃文楽、歌舞伎、雅楽、小千谷縮・越後上布(新潟県)、石州半紙(島根県)、日立風流物(茨城県)、京都祇園祭の山鉾行事(京都府)などが登録されていますが、『和食』は22番目の無形文化遺産となります。和食はバランスも良く長寿や肥満防止に役立つうえ、正月、田植え、収穫祭など年中行事と密接に関連して発展し、家族や地域社会の絆を強める上でも重要な役割を果たしてきました。和食の「おもてなし」を通じて、日本の食文化と日本の文化の素晴らしさが世界に広まることが期待されます。
 世界の食文化の「無形文化遺産」登録については、これまでフランスの美食術やイタリアなどの地中海料理、メキシコの伝統料理、トルコの麦かゆ食=ケシケキがありますが、今回は和食と共にキムチを大量に漬け込む韓国の伝統文化「キムジャン」も登録されました。無形文化遺産に登録されると、それを保護するための継続的な措置が求められます。今後、すべての日本人が担い手となって和食文化を継続的に保護する役割が求められます。次の世代が和食離れにならないように、美味しい農産物を続けることは国内ばかりでなく世界に向けた私どもの使命かも知れません。
7.20年に一度の式年遷宮 伊勢神宮
 今年は20年毎の伊勢神宮の遷宮、60年毎の出雲大社の遷宮と「古事記」や「日本書紀」の神話に触れる機会の多い年でありました。また昨年は古事記編纂1300年でしたので、伊勢神宮を祀る天照大御神(あまてらすおおみかみ)、出雲大社を祀る大国主神(おおくにぬしのかみ)に改めて神々しい思いを寄せた方も多かったのではないでしょうか。
 今年の伊勢神宮の参拝者は1千万人を超え、出雲大社では日本中の神様が集まる神在月の11月には出雲から米子に至るホテルが満杯になるなど観光業に大きな福をもたらしました。「古事記」に記される国譲り神話には、国を治めていた大国主大神が神の国を治めていた高天原の天照大神(あまてらすおおみかみ)に国を譲り、その時に造営された天日隅宮(あまのひすみのみや)が出雲大社の始まりといわれています。出雲大社は、縄文時代に祭祀の場に使われていた宮殿が社殿に発展したとされるのに対し、伊勢神宮は高床式建物で弥生時代の穀物倉庫が原型と言われております。私ども日本人が神々を尊ぶ心と古来より五穀豊穣を神様に祈る原点がそこにあったのだと改めて思い知りました。
 昨今の若い方々は伊勢神宮、出雲大社始め神社仏閣にはパワースポットがあるとしその神秘的な力に対して参拝するようですが、形は変わっても伝統が継承されることは素晴らしいことです
8.東京オリンピック7年後開催決定
 国際オリンピック委員会(IOC)は、2020年夏季オリンピック・パラリンピック大会を東京で開催することを決めました。東京は決選投票でイスタンブールを破り、1964年以来2度目の開催となりました。日本での五輪は72年札幌、98年長野の冬季五輪と合わせ4度目の開催となります。プレゼンテーションの方々が力を合わせて勝ち取ったオリンピックとも言われています。安倍首相は、原発問題への懸念を払拭するべく安全性を強調し、滝川クリステルさんは日本の「おもてなし」の精神と治安の良さをアピールし、佐藤真海選手・太田雄貴選手はスポーツが若者に夢や希望を与えると訴えました。オリンピック開催による経済効果もさることながら、若者に夢と希望を与えた意義は絶大です。
 東京都は20年までの7年間で直接的な経済波及効果は3兆円と試算していますが、道路整備等国土強靭化で55兆円、観光業で95兆円の効果がでるとの民間シンクタンクの試算もあります。政府は現在年間1000万人の訪日観光客を3000万人に引き上げる計画を進めていますが、日本食、日本産農産物、日本農業をアピールする絶好の機会でもあります。2013年の和食の世界無形遺産登録、2015年のミラノ万博「食の祭典」、2020年の東京オリンピックと世界に向けた食の連鎖を日本農業の復活に向けて最大限に活用したいものです。
9.「アベノミクス」による景気好転への期待
 2012年に誕生した安部内閣の(1)大胆な金融政策(2)機動的な財政政策(3)民間投資を喚起する成長戦略の「3本の矢」を柱とする経済政策「アベノミクス」は、円安・株高などの好転により、企業収益に対する概ねプラスの影響がはっきりしてきました。本年9月期決算発表によると、大企業中心に業績の上方修正をするなどかなりの恩恵を受けています。経団連も会員企業に「賃金引上げを通じて、一刻も早い経済の好循環が実現するよう貢献していく」との文書を提出し、賃上げに取り組む考えを示しました。
 しかし、短期間の円安もあり原料高製品安の状況が改善されたとは言えない業界が多いのも事実かと思われます。人口減・高齢化の日本では新規需要を喚起するには操業を促す規制緩和、企業工場の日本回帰を促す法人税切り下げなどの構造的な改革を避けて通れそうもありません。農業分野も規制緩和を通して2次産業、3次産業との協働による総合力で、環境を保全しながら生産力を向上するといった元気のでる政策が必要です。アベノミクスが農業の本質を確り捉え、世界に誇れる農業に転換する施策に繋がることを期待したいものです。
10.消費税来年度より8%に増税決定
 政府は、来年4月1日に消費税率を5%から8%に引き上げることを決定しました。消費税引上げは財政再建に加え日本国債の信用力を担保する目的があります。今や世界経済は貿易取引ではなく、金融取引の時代になっております。日本の国債発行額は経済規模(GDP)の2倍以上ですが、国債の価値を維持するには安定的財源である消費税の比率を高める必要があります。
 従って、今後とも消費税が徐々に引き上がる流れがあり、肥料業界も消費税対応を確りと行うことが求められますが、消費税を取引上の条件とするのはもってのほかです。3〜4月は肥料の需要期であり出荷が輻輳することが予想され、メーカー・ユーザーのきめ細かい対応が望まれます。
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